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2004年04月29日

書籍紹介#01「日本の古代道路を探す」

最近は体調が悪いせいもあってあまり本を読んでいないが、今後時間があれば、今までに読んだ本の中で気に入った内容のものをピックアップしその概要を述べていきたいと思う。

今回は平凡社新書#045「日本の古代道路を探す 律令国家のアウトバーン」中村太一著 ISBN4-582-85045-6 を取り上げる。

「1400年前の古代道路が今もそのまま道路として利用されている。」と聞くとどう思われるであろうか。これが意外に残っているのである。理由はいろいろあるが、歴史的に見ても重要度が変わらなかった道路は何らかの理由でその道路が崩壊しない限り利用し続けられている。しかし、道路を維持する体制(制度)がなくなった後は、周辺住民などの思惑により道は削られ向きは変わり無くなってしまったものさえ多い。

これらの道路を維持した体制(制度)とは、「駅制」と「条里制」である。「駅制」は中央政権が地方を支配するための命令伝達手段の整備のために作られたもので、道路の整備、連絡馬の維持、連絡拠点の整備を行うものだった。一方、「条里制」とは、土地の利用に関する区分方法をベースとした、土地管理制度のことで、「駅制」と「条里制」はどちらも土地の利用に関する制度であるため密接に関連がある。

どういうことかというと、現在もほとんど変わっていないが、道路が地割の境界線となっていることである。そして、境界線を決定するのは、それぞれの地権者の同意によるわけであるが、その根拠は往々において歴史的経緯で説明される。国家の領土問題を考えてみると、何世紀も前の事実を根拠として領土権を主張するのが一般的であり、このことからも、古代に設定された境界線が今でも生き続けていることがわかるだろう。

このため、一部の道路は今でもそのまま残り、無くなってしまった道路でさえも、土地の境界線を良く眺めてみると、その痕跡を見ることができるのだ。

以上が概要であるが、世界的に見ても、古代の道路は比較的良く残っていて、有名どころではローマ街道などが挙げられる。これは2000年以上前ものが残っている。

近くの小さな道が、実は1000年以上も前からあるなんて考えたら、楽しくないだろうか。

Posted by masamic at 16:22 [書籍・雑誌, 歴史] | 固定リンク

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コメント

古代の方が物事が原則に忠実というのが有りますよね。
古墳にしても年代によりますが、原則に従って巨大なものを作ってみたり…。
何はともあれ、書籍紹介シリーズ楽しみにしております。

投稿者: ええねん (2004年04月29日 21:20)

まあ、完全に地方勢力を平定できていないこと、また、諸外国(東アジア諸国)に日本は決して遅れた野蛮な国でないことを見せ付けるために整然とした巨大な土木工事を行ってきたわけです。

当時は法体系もシンプルであったことも理由としてはあるかもしれません。現代のように複雑な法体系も持つ世界ではいろいろなことに制約がつきやすく、民主的な国家であるならば、国民による批判もあります。たとえば宇宙開発などは推進する人もいれば反対する人もそれないにいるわけです。このため簡単には巨費を投じにくいのが現状です。(私は日本が宇宙開発に力を入れることに賛成ですが、無制約に巨額の金を消費してよいとは思っていません。)

さて、この書籍紹介シリーズは、あくまで自分が読んだ本を紹介するものなので、内容に偏りがあるかもしれません。一部記憶違いもあるかもしれません。また、ここ最近本をあまり読んでいないので、少し古め(~2002年)となっています。気が向いたときに書こうと思っているので、紹介は不定期となります。これらの点は御了承ください。

投稿者: masamic (2004年04月29日 22:26)

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