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2004年04月29日

書籍紹介#02「エレガントな宇宙」

今日はもう一冊紹介します。

草思社「エレガントな宇宙 超ひも理論がすべてを解明する」ブライアン・グリーン著 林一・林大訳 ISBN4-7942-1109-0

本書は、統一することが困難であった、量子力学と相対性理論を統合する、現在最も有望な理論である「超ひも理論」について、その歴史と現在の状況をわかりやすく解説したものである。

現在の物理学の理論の双璧といえば素粒子の振る舞いなどミクロな視点の理論である「量子力学」と、星の運動やブラックホールなどマクロな視点の理論である「相対性理論」である。実はこの二つ理論は「水と油」のような関係で、完全に統合させることは非常に困難であるとされていた。さまざまな研究者がこの二つの理論を統合する理論を捜し求めてきたが、検証に耐えうる理論はなかなか出てこなかった。

こういった困難の中で、素粒子の振る舞いをあらわす新しい理論の中に重力を媒介する粒子(重力子・グラビトン)を予言する理論が見つかった。この理論は素粒子が一つの小さな紐でできているとした。この小さな紐がどう振動するかでその素粒子が区別されると考えた。このことは、物理学の世界で論争を巻き起こした。

さまざまな物理学者がこの理論を検証し、現状の実験結果と相容れない部分があることがわかり、幾度となく否定的な意見が主流を占めたこともあった。がしかし、これは、理論構築がまだ不十分であったための理論の誤りであることがわかり、理論にさまざまな改良が加えられることになった。

さらに理論の構築が進むにつれ、この理論から、一般相対性理論と同じ式が導かれることがわかった。量子力学と相対性理論とがつながったのだ。

1980年代の第一次超ひも理論革命と、1990年代の第二次超ひも理論革命により、超ひも理論はさまざまな理論に分化していった。しかし、これが実は一つの理論(仮にM理論といわれている)の一部であることがわかってきた。どの理論もこのM理論を介して変形可能であったのだ。

超ひも理論では、われわれが知っている4次元以外に7次元の追加の次元を要求している。この次元はどうなっているのだろう。しかも、われわれの世界はなぜ4次元なのか?この問いに明快に答えることはまだできていない。

超ひも理論は、もっとも有望な理論であるだけに、物理学者は厳しい検証が必要であると考えている。しかし、現状この理論が示す物理現象は、今の技術レベルでは検証不可能であるため、この理論に懐疑的な人たちもいる。

しかし、ブラックホールに備わる性質などを説明できるようになるなど、最近では、今まで説明できなかった理論や観測事実を補強する説明ができるようになって来た。

以上が本書の概要である。

本書で取り上げられた究極の理論であるM理論についてはいまだ良くわかっていないのが現状で、今後の発展が期待される。本書でも取り上げられているが、ブラックホールのエントロピーはブラックホールの事象の地平面の表面積に比例する(ホログラフィック理論。内部の3次元構造がその外側を包む2次元表面にすべて記述されているという理論)など、面白い現象も予言されている。

もっとこれらの理論について理解を深めたい場合(一般向け雑誌)は日経サイエンス(Scientific American)などを読むと良いだろう。

Posted by masamic at 19:55 [書籍・雑誌, 科学・技術] | 固定リンク

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