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2004年05月08日

書籍紹介#03「首都江戸の誕生」

本日の書籍紹介は、

角川選書#346「首都江戸の誕生 大江戸はいかにして造られたのか」 大石学 ISBN4-04-703346-4

です。

江戸時代における日本の首都とされる江戸はどのように造られたのか?

本書では、まず、西洋の概念である首都が江戸に当てはまるのか。さまざまな人物の考えを明らかにしている。たとえば、まさに江戸が首都である。天皇の居する京都が首都であるが、江戸は政治、経済の首府である。など、論者によって定義はさまざまである。著者は江戸は首都であったとしている。

その江戸は都市としてどのように成立したか。著者は始まりを家康の関東入国においている。家康の関東入国後、江戸城入城、参勤交代制による諸般の武家屋敷の成立、それに伴う、商業の発達、大掛かりな都市計画の実現と進んでいく。

明暦の大火は江戸に甚大な被害をもたらしたが、逆に、ドラスティックな町割の再編成が行われた結果、都市としてのキャパシティが増大し、人口も大幅に増加することになった。18世紀には町人・武家の両人口をあわせると100万人に達し、当時これほどの大都市は世界的にもまれであった。人口増加に伴い、行政機構も整備された。

吉宗は大掛かりな首都改造を行った。吉宗は、防災対策として、町火消組合の創設と町屋の改造、火避け地の設定、火の見櫓の設置を行い、火災に対処しやすいシステムを構築した。並んで、行政機構の改革も行った。物価問題への対処、衛生管理能力向上と低所得者層への福祉設備としての小石川養生所の設立、風俗の取り締まりの強化などが行われた。

人口の増大は首都圏の拡大を意味している、第六章では、首都「圏」の再編について述べている。それまでの江戸周辺は幕領、大名領、旗本領、寺社領などが入り組み「犬牙錯綜」と呼ばれていた。このような複雑な領地関係は一揆の防止などといわれているが、犯罪者などが逃亡を図り他領に逃げてしまった場合、捜査権が及ばないため、領主間での話し合いの上、引渡しを行うことになり、この協議の間に犯罪者がさらに別の領に逃げてしまうという事態が起こっていた。(これについてはの概要は別の書籍紹介で行う予定である。)また、軍事的脆弱性の懸念もあり、これらの点は強化された。
また、綱吉の生類憐みの令に伴い鷹場制度は消滅していったが、吉宗がこれを復活させた。
首都防衛に関しては首都及び首都からの距離により3段階の各種制限を設けていたが、これもより有効な形へと修正されていった。人口増加に伴う人口密度の増加により「抱屋敷」(武家や町人、農民が江戸内に持つ別宅)の所有を厳しく制限したりもした。この制限はあまりうまくいかなかったようである。
そして、行楽地や新田の開発なども積極的に行われた。

18世紀後半になると江戸の町も巨大となり「大江戸」とも呼ばれるようになった。自立的な貨幣経済が成立するようになり、さまざまな文学、芸能が隆盛を極めるようになった。全国的な経済流通活動も活発になり、地方の特産品などが江戸に流入するようになった。

江戸後期、ペリーなどの諸外国船の日本への接近により、日本は否応もなく諸外国との通商を拡大せざるを得なくなった。国際貿易体制を確立するためには、西洋的な法の整備が必須で、幕藩体制では十分に機能できないとの危惧から、明治維新が起こったわけであるが、このとき、事実上の首都であった、江戸をそのまま首都にするか、京都や大坂にするか議論があった。しかし天皇の東幸などの既成事実により、そのまま江戸が明治新政府の首都「東京」となった。

これがおおよその概要である。
本文でも書いたが、教科書的には江戸時代は「居住地の自由はない」と言われているが、実際には犯罪者のみならずく町人や農民も結構別の藩に移り住んだりしていた。民に逃げられた藩が彼らの取り戻しに必死になっていた様子が、別の書籍で克明に描かれている。この書籍もいずれ紹介したいと思っています。面白いのでぜひ読んでみてください。とりあえずタイトルだけ挙げておきます。

中公新書#1629「逃げる百姓、追う大名―江戸の農民獲得合戦」 宮崎克則著 ISBN4-12-101629-7

Posted by masamic at 11:23 [書籍・雑誌, 歴史] | 固定リンク

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